おニャン子に走った元マニアを惹き付けたアイドル顔の14歳
山口初夏


伝説ロリータ
▲アイドル顔の14歳。山口初夏。

 山口初夏がデビューした`85年の初夏といえば、素人の女子高校生の集団が『おニャン子クラブ』として一曲でトップアイドルの座に駆け上がった時期でもあった。正直、当時はおニャン子ブームとロリコンは全く異質なものだと思っていたが、今にして思えば、ちょうどブームの終焉を迎えつつあったロリータ業界に見切りを着けた「元ロリコン」がおニャン子を核にしたハイティーンアイドルに押し掛けた可能性は高い。
 以前にも触れたと思うが、`82年あたりに、ロリコンは現代に置き換えるとアキバ系オタクに匹敵するほどの一大ムーブメントにのし上がった。この段階で流行に乗っかってロリコン写真集や雑誌に飛びついたマニアの中には、その後、ロリコンが世間の批判を浴びはじめるとそそくさと背を向けた一団がいた。

 こうした連中にしてみれば、ロリータに極めて年齢が近く、正統派人気芸能人としてテレビに出ていたアイドルの存在は、何の後ろめたさもなく盛り上がれる手近な存在と写ったのではないだろうか。こう考えると、山口初夏の人気の秘密がもう一つ浮き彫りになって来る。


伝説ロリータ

 この当時、おニャン子のメンバーを始めとして、人気アイドルは、中年のオヤジ達には同じ顔に見えて見分けがつかないとよくいわれた。
 そして、山口初夏も系統的にはこの時代のアイドル顔だった。そのアイドル顔の少女が、恥ずかしげもなく裸を見せているのだから、飛びつきたくなった若い男は多かったのではないだろうか。
 結果的に諏訪野しおりの『君はキラリ』、山添みずきの『ロリータアイドル』など、ブーム当時のヒット写真集には遠く及ばなかったものの、この時期のロリータ市場としてはそこそこの実績を残したと聞いた記憶がある。

 実は、このコーナーで紹介した『アリスクラブ・シスター』を編集していた当時、『初夏・14歳』の未発表を含むポジフィルムの現物を、当時の編集部から預かった事がある。それでシスターの、確か、3号のグラビアを組んだ覚えがある。今回、当時の見本誌を引っぱりだしてみたところ、今の法律では絶対に紹介出来ないカットしか使っていなかった。というか、確か、未発表でピントや絞り、手ブレなどのないカットというと、オールヌードのカットしか残っていなかった様な覚えがある。誤解を招くといけないのでさらに説明するが、これは、決して前出のカメラマン氏が下手だったという事ではなく、オールヌードの比率が非常に高かったという事だ
 ルーペでそれらの残ポジを覗いていて強烈に印象に残った事があった。それは、オフショット気味のカットも含め、ほとんど笑顔がないという事だった。ところが、さらに一コマ一コマ確認していって、その訳が判るカットを発見した。多分、始めから使用する予定のない場面だと思うが、ソフトクリームか何かにかぶりつこうとしている横顔を抑えた露出不足目のカットだ。大きく開かれた口元から、いまでは全くといっていいほど見られなくなった金歯がはっきりと確認出来た。まさか、判らない人はいないと思うが、昭和の頃は虫歯の治療で柔くなった歯をスッポリと金属で覆う治療が当たり前の様に行われていた。


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 当時は別に恥ずかしい事ではなかったが、写真集となるとあからさまに見せるのはいかがなものかという判断が下されたのだろう。あまりの笑顔のなさに、もしや、親の借金か何かの関係で嫌々モデルをさせられているのではと、小説書き独特の余計な妄想を抱いていたせいか、そうだったのか、となぜかホッとした記憶がある。
 それと同時に思ったのは、彼女が一冊だけでなく、継続的にモデルを続けていたら、成長と共にグラビアアイドルの道が開けたのではないかという事だった。
 今回、紹介したカットではあまり伝わらないと思うが、それほどバストの形がよく、身体のバランスもよかった。もちろん、これはあくまでも仮定の話だが、以前、このコーナーで紹介した彼女と同に様な思春期にしては成熟した身体の少女Mが、ロリータ専門誌のみならず、一般誌でも活躍し、ついには業界を代表する週刊誌の専属モデルにまでなった事を思えば、あながち、根拠のない話ではないのではと思う。
 同時期に発売された宇宙企画のビデオは、当時、ちょっと品揃えのいいレンタル店には数本並んでいた。
 残念ながら、それがどの程度レンタル中になっていたかチェックした記憶はないが、これも当時のロリータ市場の公然性をしめすエピソードだといえよう。


伝説ロリータ
▲「初夏・14歳」(白夜書房) 山口初夏の唯一の写真集。


第八回 山口初夏

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